天の川銀河における星間分子ガスの観測的研究
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電気電子・情報工学科 応用物理コース
助教村瀬 建
宇宙空間に存在する物質は、星の一生を介して循環していると考えられています。具体的には、広がって存在しているガスを凝集、圧縮して星を形成し、星内部では元素を合成し、その一生の最期で星内部で合成された元素や、星を形作る物質を宇宙空間に放出する。このようなプロセスが宇宙では繰り返され、現在の宇宙まで進化してきました。星の誕生は、宇宙の物質循環プロセスにおいて初めの第一歩です。星の誕生を理解するには、星の材料であるガスを物理学的に研究することが欠かせません。私たちは世界中の電波望遠鏡を用いて星の材料である分子ガスから放射される電磁波から、ガスの運動や温度、密度などの物理情報を取得することができます。これらの情報と、可視光や赤外線などの電波以外の情報とを組み合わせることで、観測している場所がどのような場所なのかについて、現地に行くことなく詳細に知ることができます。また、天文学の観測データを取得するためには望遠鏡を用います。私たちは、大学構内に設置されている口径11mの電波望遠鏡を用いた観測や保守など、運用の全てを行なっています。観測装置のお世話から、観測データの取得、データの解析、成果の報告までの一連の研究活動を通して、星間物質と星形成の関係解明を目指しています。